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ボ・ディドリー(立川トレビアン編)

立川トレビアン:

THE VERY BEST OF BO DIDDLEY / BO DIDDLEY

チャック・ベリーの話でも書いたが、ロックは異端者の文化である。
異端でない奴がロックをやったところで、説得力などどこにもない。
そんな音楽は作るだけ時間と金の無駄なのだが、
残念ながら異端者じゃない奴等のエセロックが今の音楽のトレンドとなっているのから仕方がない。
実に嘆かわしい話だ。

洋の東西を問わず最近の女のロックが、異常にひどい。みんな不妊症っぽいんだよなぁ〜。
結局のところみんな生命力が弱っているんだろう。
まぁ男も精子の濃度がずいぶん水で薄められているんだろうし、
女のロックにばかり責任を押し付けてもいけないのだが……。

むしろ奄美大島あたりの大家族のほうが存在感としては、ロックなのだ。

普通の感性だったら、子供を12、3人産んだりしたら、ちょっと近所に顔向けできないはずなのだが、
彼等彼女等は実に堂々と街を闊歩しているではないか。
あれこそが異端の本当の姿なのだ。

異端というのは結局常識からずれた感覚を悪びれない姿勢である。

ま、しかしその常識っていうのは、我々が普段行っている行動を指すのであって、
実はそれは誰かが勝手に決めたルールみたいなものだから、正しいというわけではない。
むしろ異端者のずれた常識のほうが正しい場合もある。

なぜ人間は道ばたで盛ってはいけないのか?
人間も動物である。

犬が公衆の面前でオ○ンコかましても誰もとがめないのに、
人間が国道の脇などでオ○ンコをしてはいけないというのはおかしい。

犬はしたいからどこでもオ○ンコを決める。
しかし人間はしたくなっても、時と場所を考えてオ○ンコをじっと我慢する。
したいことを我慢するというのが常識だとすれば、
人間という生き物は常に自分の欲求に応えられない不自由な生き物である。

何が自由の世の中だ。嘘ばっかり。
「完璧な自由などあるもんか!」
とフランク・ザッパはマザーズ・オブ・インヴェンションの『アブソルートリー・フリー』で
アメリカの欺瞞性を辛辣に批判した。
ザッパもかなりの異端者だった。

さぁ〜、そこで今回の本題のボ・ディドリーである。
そもそもチャック・ベリーやリトル・リチャード、ボ・ディドリーといったアフリカ系アメリカ人は、
アメリカにおいて、産まれた時から異端者の因果を背負わされた人間である。
ボーン・トゥ・異端とでもいえばいいだろうか?
何も上記の3人だけではない。

アメリカにおいてすべての黒人は異端だったのだ。
産まれてすでに異端というのは、実はロックであることの必然性からして、無茶苦茶有利なのだ。

だからこそロックをする白人達は黒人に憧れたのだ。
とはいっても肌の色というか、資質の違いはいかんともし難い。異端の重さが全然違うわけなのだ。

まぁチャック・ベリーの真似をストーンズがやったて、それは所詮ジェロの演歌みたいなもので、
なんだろうなぁ〜、こりゃ〜になってしまう。

ただストーンズは、チャック・ベリーを独自の無意識マヌケに置き換えることができたからこそ、
今日までしぶとく生きながらえられている。置き換えるというか、
本人達は無意識だから、置き換えているつもりはさらさらないんだろうが……。

で、ストーンズが憧れたボ・ディドリーだが、とにかく図太そうな面構えがいい。
そして何がボの魅力かといって、
(テクニック面ではBEAT-NETさんと土田さんのを参考にしてもらうとして)
精子の量が異常に多そうなところがカッコいいのだ。

どのぐらいでそうかというと、半端じゃなく、
酔っぱらいのラーメンゲロぐらいの量がポコチンの先からブフォーッと吐瀉しそうな雰囲気を持っている。
もちろん精虫だって1匹がオタマジャクシよりも大きそうだ。

ここまで男が漲っていれば、『オレは男だぜ!』と叫ばれても、
我々は居住まいを正して、土下座をしながら、ご無理ごもっともですと頭を下げるしか術がない。

それだけの異端男パワーが漲っているからこそ、ボのあの奇妙な四角いギターに説得力を生むわけだ。

流石のキースも四角いギターは図々しくて持てなかったが、
アンペッグの馬鹿みたいに重たいクリスタル・ギターを使ってみたり、フライングVなどを使ったりして、
それなりに頭をひねってボへの憧れを変化球で表現してみせたのだが、
だいたいキースが考えたからあの手のギターは失敗だったの。

いつもの無意識パワーでトンチンカンなギターをチョイスしてたら、
また凄いマヌケ美に溢れていたはずなんだが……、ちょっと残念である。

そもそも異端者の因果を持って産まれた上に、精子がやたらと多いとくれば、もはや孤高の異端なのである。
誰が真似をしてもそれは陳腐なものになってしまう。

だからこそのボ・ディドリーなのだ。だからこそ世界中にボは影響を与えているわけだ。

余談ではあるが昔森田健作主演のドラマ『俺は男だ!』というものがあったが、
あれなどは日本のテレビマン達に、ボ・ディドリーの無意識下の影響があった何よりの証拠だ。

そこにまで影を落とすボの影響力には空恐ろしいものを感じる。
ただし主演に森田健作を持ってきたところに、無意識ゆえの曲がった影響
(この場合悪影響というのだろうか?)を感じずにはいられない。
若山富三郎を使えばボも浮かばれただろうが……。

街を探せば今日もきっとあちらこちらにボの影が見つかるだろう。
それは地球が続く限り永久に。

土田:コメント

「ボ・ディドリー」楽しく読ませて頂きました。最も印象に残ったのは...
オ○ンコです!(笑)

>>産まれながらの異端は有利
ごもっともです!そういう意味では日本人や白人はもちろん、
今のアフリカ系アメリカ人にもあまり説得力はないと思います。
ていうか、ロックなどもうとっくに死んでると思います。

私がもっともカッコ悪いと思うのは「ロックは異端、不良の音楽」という概念にとらわれて、
普通の環境で普通に育った人間のくせに異端ぶったり不良ぶったりしてる奴等です。

それで音や曲がカッコ良ければ構いませんが、ほとんどが女受けや売り上げを狙ってるだけの音楽じゃないですか?!
言ってしまえばジャニーズと同じです。
(※ブルーハーツのヒロトは異端だと思います。初期は好きでした)

曲がカッコ良ければと言いましたが、
もうほとんどのパターンやメロディーは出尽くしてしまってると思うので、
数曲そこそこ良い曲を作ったとしてもどうせ昔の曲の焼き直しになってるだけだと思います。
よって新たに音楽を作ろう、音楽で飯を食って行こうとする人間の気持ちが私には理解できません。
どう足掻いたってビートルズの足元にも及ばないのに何の夢があるんだ?ちゅう事です。

でもミッシェルは演奏のカッコ良さで日本の頂点を極めた感じだったので好きでした(中期まで)。
逆に言えば、ミッシェルよりカッコイイ演奏が出来ない、
あるいは目指さないのであれば日本人はもうロックをやる意味がないと思ってました。

そして10年ほど凄く良いと思うリアルタイム音楽が無かったのですが、チャットモンチーには衝撃を受けました!

まず立川さんが(私もですが)言ってる様な「ロックの概念や常識」がどうでも良くなります(笑)
もうロックはとっくに死んじまってる訳ですから、逆に言えばなんでもアリなんですよ(笑)

チャットモンチーの様に良い家庭環境や土地柄(四国の上側は良い人が多い)で育った女の子達が
全然不良振らないで何故かロックをやる。
これはロックのステレオタイプに反抗するという意味では逆にロックではないでしょうか?

作曲、ボーカルの橋本絵莉子は超天然ボケ、天才的な曲作りという意味では充分に異端の存在です。
どんな音楽を聴いても「劣化ビートルズだな」あるいは「劣化アメリカンポップスだな」としか思わなかった私が
ここまで感動したり驚かされたりした音楽は人生で始めてなので、
誰が何と言おうと天才作曲家と断言します!!



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