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ビートルズ、ストーンズの好きな曲(立川トレビアン編)

立川トレビアン:

MEGA ELVIS / ELVIS PRESLEY

フランク・シナトラによって大ヒットした名曲『マイ・ウェイ』は、
その後もエルヴィス・プレスリーや勝新太郎といった強烈な個性によって、カバーされている。

そもそも『マイ・ウェイ』は生半可なタレントが歌ったところで、
その歌に説得力など持つはずがない。

『マイ・ウェイ』は、落語と同じで、
演者のパーソナリティが重要なのである。

つまりどれだけ周囲に迷惑をかけてきたか、
あるいは今も迷惑をかけ続けているのかという生き様が、重要なのである。

さんざんっぱら悪魔のように数多の人間に迷惑をかけておきながら、
「振り返ってみると、オレってつくづく幸せもんだよなぁ〜」
と気持ちよさそうにいいきれる図々しさと懲りなさが、
『マイ・ウェイ』に説得力を持たせるのである。

さんざん苦しめられ、悶え続けた人間だって、
『オレって幸せ』
といわれちゃうと、呆れて二の句が継げなくなるが、
もう目くじらを立てて立腹するのが馬鹿馬鹿しくなるというものだ。
まさにトホホな気分になってしまう。

おそらく、エルヴィスや勝新に継いで『マイ・ウェイ』が似合っていただろうなぁと思えるのが、
我らがジョン・レノンである。

ジョンは絶対に『マイ・ウェイ』を歌わなければならない因果を持っていたのだが、
彼がいつかそれを形にしてくれるだろうという私の夢は、
凶弾という意外なものによって、打ち砕かれてしまうわけである。

いや〜、ジョンの『マイ・ウェイ』で心底トホホな気分を味わい、
ニルソンなんかの地団駄を見てみたかったものだ。

しかし、『マイ・ウェイ』を歌わなくとも、
存在が『マイ・ウェイ』なのが、ローリング・ストーンズである。
したがって、彼等は何を今更、『マイ・ウェイ』なのである。

アルバム『アフター・マス』の『ゴーイン・ホーム』のアホ臭さは、
『マイ・ウェイ』な奴等じゃないと、ちょっと出来るもんではない。

ブルースへのリスペクトを形にした曲といわれているが、私なんぞはあれを聴く度に、
「帰ろかな? 帰るのよそうかな?」
とストーンズが銭湯の中でいい心持ちになって、
北島三郎にリスペクトしているとしか思えないのである。

まさに細胞が『マイ・ウェイ』化しているのだ。

だいたい、あんな風に家に帰っちゃっちゃ、
いろんなところに立ち寄って、まともに帰りつけないはずだ。

とはいえ、『ゴーイン・ホーム』の『マイ・ウェイ』化は、あくまでも発展途上であり、
そんなストーンズの全細胞が、『マイ・ウェイ』に化学変化したと思われる曲が、
キース・リチャーズがケツの穴が開ききったいい気色で歌っている『ハッピー』だ。

宵越しの銭は持たない場当たりな馬鹿が、
「いろいろあったが、オレって、やっぱ幸せもんだなぁ」
と心底思っているところがニクイ!

EXILE ON MAIN ST. / THE ROLLING STONES

やはり、『ハッピー』こそが私のストーンズのフェイバリット・ソングだろう。

とはいえ、その『ハッピー』にたどりつくためには、
我々一人一人がストーンズの行き当たりばったりに付き合わなくてはならない。

そのためにはストーンズの全アルバムに耳を傾けるという
最低限のマナーが必要であると私は思っている。


そして、ビートルズのフェイバリット・ソングだが、これは難しい。

基本的にはジョン・レノンのフルチン性に、
私は凄まじいまでのリスペクトを持っているのだが、
ジョンがそのフルチン・ゴリゴリぶりをいかんなく発揮するのは、むしろソロになってからである。

土田さんのご指摘通り、ジョンの『イマジン』的思想を神格化する人間は多い。
あの手のファンが意外にも見落としているのが、ジョンの異常なフルチン性である。

ジョンが世界平和を訴えている時、彼はフルチンでポコチンをピンコピンコおっ勃てていたのだ。
つまり底知れないマヌケ美に溢れているわけだ。
そして、それは決して『愛と平和』という側面だけで、
ジョンを語ってはいけないということをジョン自身が我々ファンにメッセージとして送っているのだ。

ところが今回のお題はビートルズのフェイバリット・ソングである。
となればソロのジョンについては、またの機会である。

確かにビートルズにおいて、ジョンのフルチンが完全に解禁されたのは、
やはり『ホワイト・アルバム』からであろう。

まぁ、あの当時ジョンはヨーコと『トゥー・ヴァージンズ』で、フルチン性ではなく、
マジでフルチンになってしまうわけだから。トホホ。

SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND / THE BEATLES

ところが私はフェイバリット・ソングに挙げるのは、『ホワイト・アルバム』以前の、
『ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト』なのだ。

これはフェイバリットといえるものなのかは、はなはだ疑問である。
いってしまえばビートルズの曲は、私にとってどれもフェイバリットだからである。

じゃあなぜこの曲を選んだかというと、
ここ数年で、私が一番聴いたビートルズ・ナンバーだからである。

それだけ? と問われれば、
「それだけだよ。文句あるの?」
としか私には答える言葉がない。


土田:コメント

好きな曲論はビシビシ伝わって来ます!
仮に自分がそれほど好きじゃない曲だとしても
今まで知らなかったその曲の魅力に気が付かされたりして、
下手したら嫌いな曲でも好きにさせてしまうのではないかと思える位に強烈なパワーがあります。

それこそが真の音楽評論です!!
評論家にありがちな知識の披露合戦なんてクソ食らえ!です(笑)


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