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キンクスを形成した音は何か?(立川トレビアン編)

立川トレビアン:

DO YOU BELIEVE IN MAGIC / THE ROVIN' SPOONFUL

The lovin' Spoonful/Do You Believe In Magic

お二方、特に土田さんのキンクスのルーツの謎解きは、私もほぼ同じ意見である。

結局キンクスの音を解く鍵は、とみにいわれていることだが、
レイ・デイヴィスの際立った特殊性を考える必要がある。

レイ・デイヴィスほどロック・スターの存在を毛嫌いしたロック・スターはいない。
60年代に確立されたロックのアイコンみたいなものを、レイは常に、
「なんなんだ、コイツ等はよ」
と醒めた目で見ている。

そのスタンスは年代を問わず、
レイ・デイヴィスの終始一貫したポリシーみたいなものである。

したがってBEAT-NETさんや土田さんが指摘の通り、他のブリティッシュ・ビート・バンドに比べて、
いかにも的なブルースの香りがキンクスには少ない。

しかし他のブリティッシュ・ビート・バンドがどいつもこいつもブルースに心底痺れていたのだろうか?
アレクシス・コーナーのようなカリスマがいうところを
盲目的に信じていた連中が当時は多かったのではなかろうか。

全員が全員ビートルズであったり、ストーンズだったりしたわけではなく、
ヤンキーの後輩がヤンキーの先輩のまんま真似をするみたいな現象が絶対にあったはずだ。

その部分にレイ・デイヴィスは胡散臭さみたいなものを感じ、
「いや、オレはこっちのほうが好きだけどなぁ〜」
と正直にいったのではないだろうか。

その真っ正直さが、ある意味レイ・デイヴィスが変人と片付けられるゆえんなのかもしれない。
変人ではなく正直なんだけど……。

ということはキンクスにはブルースの影響がないかといえば、それも違う。
土田さんが指摘した通り、キンクスにはロニー・ドネガンの臭いを強く感じる。

ところがそのロニー・ドネガンは、イギリス人的にブルースを拡大解釈した人であり、
根底にあるものはやはりブルース魂である。
つまりキンクスは他の連中とは違った切り口でブルースを解釈したに過ぎない。

おそらく、レイ・デイヴィスは、常に他のグループに違和感を感じながら、
己が他者から違和感を感じられてしまうという迷宮にはまり込んでいたはずだ。
ああ〜、つくづく面倒くさい立場を選ぶ人である。

そんなレイ・デイヴィスが心を躍らせ、
「そうなんだよ、それだよ」
と音楽的同胞を得たような気になったのは、
1965年に『魔法を信じるかい』でデビューをしたラヴィン・スプーンフルではないだろうか。

ラヴィン・スプーンフルの存在がなければ、
キンクスは『ヴィレッジ・グリーン・プリザベーション・ソサエティ』を作ることはなかったはずだ。

結局のところブリティッシュ・インベンションの影響で生まれたアメリカのグループに
ブリティッシュ・ビート・グループが影響を受けるということは、
ビートたけしがラッシャー板前の真似をするみたいなもので、
本来はあってはならないことなのだろうが
(というかロックの誕生の歴史を考えると、アメリカのほうが正当的な系譜なのだが)、
本来あってはならないことを平気でやってしまうところにも、
レイ・デイヴィスの際立った特殊性があるといえよう。

ラヴィン・スプーンフルをルーツと捉えるのは、ちょっと問題があるかもしれないが、
ビートルズとビーチ・ボーイズの関係みたいなもので、
キンクスの音を謎解くならば、ラヴィン・スプーンフルを無視することはできないと私は考えている。

土田:コメント

R&B FROM THE MARQUEE / ALEXIS KORNER'S BLUES INCORPORATED

>>ビートたけしがラッシャー板前
→ウケました!でもそれだったら松村邦洋の方が読者に伝わり易い様な気がするのですがいかがでしょうか?

実際たけしは松村の影響を受けてると思います(笑)。
「バカヤロー、この野朗!」とか松村のおかげで
たけしがより「たけし」らしくキャラ立ちしている面もあると思いますよ(笑)

これはストーンズの90年代以降のライブバージョンのSatisfactionが
オーティスバージョンっぽいアレンジになってるのと一緒です(笑)


BEAT-NET:コメント

キンクス⇔ラヴィン・スプーンフル

見落としがちですが、「あるある」ですね。

> アレクシス・コーナーのようなカリスマがいうと
まさにレイがアレクシスのトコに顔を出しながらも
ドップリと浸からなかったのは、
周りとの違和感だと思います。


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