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チャック・ベリー(立川トレビアン編)

立川トレビアン:

BEST OF CHUCK BERRY / CHUCK BERRY

Chuck Berry

ロックは異端でなくてはならない。
日常の生活をまともに送られる器用さなどは、ロックにまったく必要がない。

だから正しいロックは、市長選挙の投票にいくのではなく、
そういう時間があったら、家に籠って静脈にヘロインをぶち込みながら、
「ストロベリー・フィールズ(もちろん、静脈の注射跡を意味するスラングですよね)・フォーエバー!」
と叫んでいたほうが建設的である。

そして、異端であればあるほどロックというものに説得力を持たせることができるのだ。

つまりまともな奴が太刀打ちできる音楽ではないのが、ロックなのだ。
戦前のブルースなどの資料を見ると、やたらと犯罪者が多いではないか。
当時の黒人差別を考えると、冤罪も多々あろうかとは思われるが、
どいつもこいつも正業が泥棒で、副業がミュージシャンみたいな雰囲気を持っている。

そう、ロックというものに関していえば、犯罪さえもステイタスになり得るのだ。

想像して欲しい。コンサートで客を酔わせた後に、
どこかのビルに忍び込んで、金庫破りをしたり、強盗をしているミュージシャンがいたら、
なんともロマンに満ち溢れているではないか!

もちろん、そこまでのアホは許されない話であるが、
そういう質が悪そうな臭いが、私は好きである。

そこでチャック・ベリーである。
ラリー・ウィリアムスほどではないが、こいつも随分と質が悪い。
タチがいいのは、ちんぽだけではないだろうか?

本当に痺れてしまう面構えをしている。

つまり、チャックは一般社会においては、もの凄い異端なのである。
だからこそ、彼は多くのミュージシャンにリスペクトされ続けるのだ。
曲の魅力以上に全身ロック・ン・ローラーぶりが痛快なのだ。

そして、チャック・ベリーのもう一つの魅力は、
論理的という言葉が微塵もないところである。
おそらく、彼自身、自分のことを論理的に語れないはずだ。

何を訊ねられても、
「チャック・ベリーだから」
という帰結のさせ方で、人生の大半を歩んできたはずだ。

しかし、『チャック・ベリーだから』という言葉だが、
彼の口から飛び出すと、何万語の理屈よりも、真理であるように思えるから凄いのだ。

「チャック・ベリーだから!」
と本人が開き直ってしまえば、
仮に彼がアル・ヤンコビックのカバー(っていっていいのかな?)やディーヴォのカバーをしても、
それは正しいということになるわけだ。ありゃまぁ〜。

1972年のチャック・ベリーのヒット曲『マイ・ディンガリング』のいい気分ぶりを耳にする度に、
真理がチャック・ベリー自身にあることを私は再確認するのである。

しかし、同時に、
「コイツに何をいっても無駄だろう」
というトホホな思いを強くするのも事実であるのだが……。

「オレ、チャック・ベリー。職業、チャック・ベリー」

そこには小賢しい説明を一切排除した全裸の魅力が横たわっている。

生涯現役のロック・ン・ロール芸人、異端の国の番長チャック・ベリーは、
今日もチャック・ベリーを貫いているのである。
丈夫そうだし、死なないだろうな……。

土田:コメント

私は思ったのですが、あなたの音楽論そのものがチャック・ベリー的です!


BEAT-NET:コメント

「オレ、チャック・ベリー。職業、チャック・ベリー」
笑えます。

> コンサートで客を酔わせた後に、どこかのビルに忍び込んで、
パブロッカー、ルー・ルイスがまさにコレですね・・・


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