BRITISH BEAT CLASSIC - ルーツ系ブルース、R&B、ロックンロール・ガイド for ブリティッシュ・ビート・ファン -

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キンクスを形成した音は何か?(BEAT-NET編)

BEAT-NET:

BRITISH BEAT CLASSICS Vol.1 / VARIOUS ARTISTS

キンクスの1枚目「ザ・キンクス」、そして2枚目「カインダ・キンクス」。

そこではおなじみチャック・ベリー、ボ・ディドリー、モータウンなどの
定番カバーに混じって、
「ずいぶんとマニアックな選曲だなぁ」
と思わせるカバーが入っていた。

お気に入りのバンドがカバーしたオリジナル曲を漁りはじめたおいらには
あまり馴染みのない名前、Lazy Lester、Jimmy Andersonなる人がクレジットされている。

後にPヴァインから『ブリティッシュ・ビート・クラシックス』なる
キンクス、そしてフーがカバーしたオリジナル曲を集めた編集盤がCD出て、
そこでのライナーに、これらのカバーについてこんな事が書いてあった。

イギリスで発売されていたエクセロ・レーベルのオムニバス・アルバム
『Authentic R&B』(Stateside SL-10068)というアルバムを聴いたため
【『ブリティッシュ・ビート・クラシックス』ライナーより引用】

「なぁーんだ、そういうことだったのか」
とおいらは妙に納得してしまった。

正直、キンクス率いるレイ&デイヴ・デイヴィス兄弟が
それほど強くブラック・ミュージックに惹かれていたという感じはなかった。

マイ・ペース感のあるキンクスだが、
特にレイ・デイヴィスなどは、基本的に流行りもん好きであり、
モータウン・サウンドをとりいれたり、シタールを導入したり、
SE入れたり、サイケしたり、コンセプトものだったりと
大概の流行り要素は、意外なほど早かれ遅かれそのサウンドに取り入れている。

ブルースというのも、その流行りの一つとして
興味を持ったというレベルであるような気がしてならない。

そんなキンクスがおいらには無名と思われる曲を
カバーするということが不思議だったのだ。

しかし、前記二人の曲
《 I'm A Lover Not A Fighter 》、《 Naggin' Woman 》のほか、
スリム・ハーポの《 Got Love If You Want It 》も含まれているブルース編集盤が
当時のイギリスから出ていて
そのアルバムから3曲もカバーするというのは凄い。

ストーンズのミック・ジャガーがチャック・ベリーとマディ・ウォーターズの
チェス原盤アルバムを持っているのを見て、
キースがたまげたという再会ハナシは有名だけど、
当時のそれらUS盤はマニアックで高価なものであり、
それなりの富裕層でなければアルバムを手に入れることさえ
できないシロモノだったハズ。

おそらくレイ&デイヴは少ない小遣い?から
流行りつつあったブルースをいろいろと聴いてみたいと手にした編集盤が
そのアルバム『Authentic R&B』だったに違いない。

そんなことで、
あのカバー曲がキンクスのルーツ上の重要曲だ!
という気はない。

しかし当時のイギリスのドン、アレクシス・コーナーのトコにも出入りしていたというレイ・デイヴィスが
そこでのシカゴ系のコッテリ・ブルースに興味は持つものの、
「なんか違うなぁー」
と思っているところに
この編集盤でのエクセロ系のブルース。

それらはシカゴ系と同じシンプルなバンド編成ながらも
フニャッとしたトローリ感。

そこにレイは
「これもブルース。これでいいんだ」
と開き直りの美学を手に入れたのだ。

ファースト《 Got Love If You Want It 》での
あの激演はそんな開き直りの初期総決算である。

その後もレイ・デイヴィスは流行りものに気をひかれながらも
「これでいいんだ」
的な独自解釈を次々に惜しげもなく発揮。

そしてキンクスは偉大なる永遠のB級バンドとなっていったのである。

土田:コメント

BETWEEN THE BUTTONS / THE ROLLING STONES

>>「基本的に流行り物好き」
→これはストーンズなどにも言える事なんですよね。

面白いのは、その流行り物好きのストーンズのパクリっぽいDavid wattsです。
♪パラララ、パッパッパラーラ!Let's spend the night together!(笑)
↑こんな事まで掲載したらキンクスファンの読者の反感を買うでしょうか?


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